食品添加物の種類 着色料

2019年1月18日

着色料は食品を美味しく見せるためキレイに色を付ける添加物です。

昨今、味よりも商品の見た目が重視されているため、いかにも美味しそうに見える食品には大抵使われています。

日本でも江戸時代より天然の植物を利用して着色する文化はありましたが、明治頃から合成着色料が普及し、現在も危険性がわかるとその都度禁止されています。

着色料は合成の他、植物や虫、菌からなど様々なものから作られています。

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食用青色1号、青色1号アルミニウムレーキ

食用青色1号は水とアルコールには溶けますが油には溶けません。

着色力はあまり強くありませんが光、熱、酸に強くお菓子やゼリー、野菜の漬物などの食品や清涼飲料水の着色に使用されています。

青色の食品が少ないこともあり、青色1号は単独で使用されるよりも他の着色料と混ぜて緑色やチョコレートのような色にするために活用されることが多いです。

食用○色△号という合成色素は、法令で不純物が15%未満という規格が設けられています。その為、合成着色料に使われた色素に含まれる不純物による発ガン性が問題になっていると言われています。

アルミニウムレーキとは、青色1号を水に溶けにくくするために水酸化アルミニウム化合物に吸着させたものです。

このアルミニウム化合物は菓子パンの膨張剤として使われていることが多く健康に影響を及ぼす可能性があることから、厚生労働相は菓子業界に対して使用量を控えるように要請しています。

食用青色2号、青色2号アルミニウムレーキ

食用青色2号は光や熱に非常に弱く取り扱い方によっては変色してしまいます。

その為日本では使用する範囲を制限しており一部の食品には使用することができません。また、国によっては発ガン性の問題があると言われており使用を禁止されています。

水やアルコールに溶かすと他の着色料では出すことができないような独特の紫がかった青色になります。

単独で使用されることは少なく、他の色素と混ぜ合わせてチョコレートや和菓子などの食品の色付けに使われることが多いです。

ただ、カステラやきな粉、野菜やわかめ類などには使用してはいけないという基準があります。

また、青色2号を粉末ジュースの着色料として使用した場合、その粉末を水に溶かすとまだらになってしまうことがあります。

アルミニウムレーキは粉末の混ざり具合を均一にする働きがありまだらになることを防ぐ効果があるので青色2号と一緒に使われることが多いです。

食用赤色2号、赤色2号アルミニウムレーキ

食用赤色2号の発ガン性について日本では厚生労働相にて議論され、平成13年9月25日に開かれた食品衛生調査会で問題はないと判断された為使用することは認められていますが、アメリカでは問題があると言われ使用を禁止されています。

◯色◯号のように食品添加物として利用されるタール色素はすべてが食用として使用できるわけではなく、認可されているものだけが「食用」と呼ばれています。

他の添加物である保存料や甘味料、防かび剤などには「食用」は付けられていないので食用ソルビン酸、食用サッカリンとは言いません。

水に溶けやすく光や酸には強いです。

また熱や塩基には弱いので変色しやすい性質があります。

他の色素と混ぜ合わせて着色料として使用することもありますが、主に単独でゼリーやかき氷に使うイチゴシロップなどに使われることが多いです。

また、鮮魚やお茶など一部の食品には使用できません。

食用赤色3号、赤色3号アルミニウムレーキ

食用赤色3号は熱に強いです。水やアルコールには溶けやすいのですが、酸っぱさを感じる酸性のジュースには溶けずに沈殿します。

また光や紫外線の影響を受けやすいのですが、それにより変質した場合の安全性についてははっきりしていないようです。

少し青色がかった赤色をしており着色力は強いです。

特に豚肉や魚肉などのたんぱく質をよく染める特徴があります。単独で使用されることよりも他の色素と混ぜ合わせて色付けされることが多く、主にかまぼこやケチャップ、福神漬けなどの着色に使われます。

また、さくらんぼの着色料にも使われますがケーキの盛り付けにされるレッドチェリーがどれも同じ真っ赤な色をしているのは一度脱色をしてから赤色3号で染め直しをするからです。

食用赤色40号、赤色40号アルミニウムレーキ

食用赤色40号は水やアルコールに溶けます。

光、熱、酸にも強いため用途が広く使い勝手が良いことから、他の着色料と混ぜ合わせて利用されることが多いです。

アメリカからの輸入品でもよく見かけますし、日本では主にジャム、漬物、清涼飲料水、チーズ、菓子類に使用されています。

有機化合物が2つ繋がった合成着色料のことをアゾと呼びますが、食用赤色40号はこのアゾ系の一種に分類されています。

アゾ系のなかには発ガン性のおそれが指摘されているものもあります。

イギリスでは、食用赤色40号などの合成着色料と清涼飲料水の保存料に使われる安息香酸ナトリウムを同時に摂取した場合、子どもの注意欠陥やじっとしていられない多動性障害を引き起こす可能性があるとして合成着色料の使用は避けるべきだと勧告しています。

複数の添加物を同時に摂取することの危険性については、日本でもより研究を実施すべきではないかとも言われています。

食用赤色102号

赤色40号と同系のアゾ染料です。

アルコールや油に溶けにくい性質がありますが、水には溶けやすいです。

光、熱、酸にも強いため使い勝手がよく、単独で使用されたり他の着色料と混ぜ合わせて色付けします。

カステラ、魚肉の漬物、野菜やわかめ類など使用してはいけない食品もありますが、主にジャム、たらこ、佃煮、漬物、練り製品などに使われます。

遺伝子変化を起こし体に悪影響を与える可能性があるかを調べる遺伝毒性という実験では、マウスの結腸でDNAが損傷したと報告されました。

日本では発ガン性はないと言われ使用は許可されていますが、カナダ、アメリカ、ベルギーでは使用を禁止しています。

またイギリスでは、保存料に使われる安息香酸と同時に摂取した場合に注意欠陥や多動性障害を引き起こす疑いがあるとしています。

その為イギリスのメーカーは食品基準庁から勧告され、使用を自主規制しています。

食用赤色105号

水やアルコールによく溶けますが、光・酸に弱く、タンパク質に良く染まります。

紫色をしていますが水に溶けると赤紫色になります。

単独か他の色素と混ぜ合わせてかまぼこやなると、ソーセージ、菓子類などの食品の着色に使われることが多いです。

昭和23年に食品添加物に指定されてから長い間使われてきました。

合成色素は15%未満であれば不純物が混入していても良いとされていますが、食用赤色105号には発ガン性が疑われるヘキサクロロベンゼンが含まれる可能性があることから現在では、日本生活協同組合連合会の取扱商品から削除されています。

食用赤色106号

タール色素に分類される合成着色料です。水やアルコールに溶け、水に溶けると赤色から赤紫色に変わります。

熱、光、酸、アルカリ、還元には安定的です。

食品への含有量の割合はppmという単位で表しますが食用赤色106号は非常に安定していることから、100ppm以下で着色ができ、使用量の規制はありません。

単独では鮮やかな紅色で色が強すぎるため他の着色料と混ぜ合わせ、主にでんぶ、桜海老、紅生姜、みそ漬け、漬物、ハム、ゼリー、キャンディー、などの着色に使われます。

またカステラ、魚肉の漬物、野菜やわかめ類など使用してはいけない食品もあります。

日本では昭和37年に添加物に指定され、不純物の混入が15%未満であれば問題ないとされています。

国によっては発ガン性の疑いがある不純物が含まれる可能性があるとして使用を禁止しています。

食用黄色4号、黄色4号アルミニウムレーキ

赤色40号と同系のアゾ染料です。

水に溶け、アルコールや油脂には溶けません。また光、酸には安定的ですが熱には不安定です。

重曹などのアルカリ性のものを加えると黄色から赤色に変わります。

黄色4号アルミニウムレーキは水には溶けず熱に安定的です。

食用黄色4号は単独で使用されたり他の着色料と混ぜ合わせて色付けします。

主に漬物、ねりうに、油脂食品、粉末食品、飲料、菓子類使われます。カステラ、魚肉の漬物、野菜やわかめ類などの食品には使用してはいけません。

食用赤色102号と同様に、遺伝毒性についてマウスの結腸でDNAが損傷したと報告されていますが、日本では発ガン性はないと言われています。

また、15%未満であれば不純物が混入していても問題ないとされていますが、日本生活協同組合連合会では安全性に問題があるとして取扱商品から削除しています。

食用黄色5号、黄色5号アルミニウムレーキ

タール色素に分類される赤色40号と同系のアゾ染料です。

水、アルコールには溶けますが油脂には溶けません。

また光、酸、熱、アルカリには安定的です。

水に溶かすと橙黄色なり、アルカリ性の食品は多くありませんが、アルカリに触れると赤味を帯びた褐色になります。

カステラ、野菜など使用してはいけない食品もありますが、主に野菜の漬物、飲料、ゼリー、冷菓、飴類、菓子などに使われます。

黄色5号アルミニウムレーキは油脂食品、菓子類に使われています。

食用黄色5号を生成する際に副成されるスルファニル酸塩色素、スルファニル酸アゾβ-ナフトールは人体に影響を与える可能性がある為、混入率は総量の5%以下と定められています。

15%未満であれば不純物が混入していても問題ないとされていますが、日本生活協同組合連合会では安全性に問題があるとして取扱商品から削除しています。

イギリスでは注意欠陥や多動性障害を引き起こす可能性があるとして使用を避けるべきだと勧告しています。

食用緑色3号、緑色3号アルミニウムレーキ

合成着色料です。

水、アルコールに溶け、熱、光、酸に安定的ですが、アルカリには弱いため触れると変色します。水に溶けると青味を帯びた緑色になります。

緑色にはクロロフィル系の色素があること、緑色の食品が少ないことなどから日本で使用されることは少ないです。

他の着色料と混ぜ合わせて、キャンディー、菓子類や清涼飲料水に使われたりします。

他の合成色素と同様に不純物の混入が15%未満であれば問題ないとされています。

銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム

クロロフィルは緑色の植物から抽出でき、光に当たると変色する性質があります。

アルカリなどで処理することで天然のクロロフィルに含まれるマグネシウムを人工的に別の元素に置き換えることができます。

マグネシウムを銅に置換すると銅クロロフィル、鉄に置換すると鉄クロロフィルになります。

これらは光で変色することは少ないです。

尚、鉄クロロフィルは添加物として認められていません。

また、水に溶けやすくしたものが銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウムです。

 

銅クロロフィル

こんぶ、青果物の貯蔵品、魚肉ねり製品、チューインガム、チョコレート、生菓子、みつ豆缶詰中の寒天に使用できます。

魚肉のすり身、菓子パンには使用禁止です。

銅クロロフィリンナトリウム

銅クロロフィルとほぼ同様ですが、他にシロップ、あめ類に使用できます。

魚肉のすり身、菓子パンには使用禁止です。

鉄クロロフィリンナトリウム

こんぶ類、のり類、食肉、鮮魚介類、豆類、茶、野菜及びわかめ類には使用禁止。使用量に制限はありますが記載以外の食品には使用できます。

 

これらの着色料に対して食品衛生法による規格基準はありますが、不純物について定められていないのでどれくらいの量が含まれているかはわかりません。

日本では健康食品として売られていたクロレラに含まれるクロロフィルが原因で1977年に光過敏症が発生しました。

クロロフィルが光で変化した物質により皮膚炎を起こしたと言われています。

主な症状は顔や手の浮腫み、紫斑、紅斑、疼痛で潰瘍や壊死する重傷者もいました。

またヨーロッパやアメリカでは家畜が光に当たると過敏症になり死亡するという事故があり、牧草に含まれるクロロフィルが光と反応して皮膚に障害を起こしたことが原因と言われています。

カラメル(カラメル色素)

カラメルは黒い褐色でドロっとしたコールタール状の液体または固体です。

水に溶けやすく、油脂には溶けません。

製造方法は様々で、砂糖を作る時にできる副産物であったり、デンプンを塩酸や酵素で分解したもの、その他グルコースなどの糖類にアルカリ、酸、亜硫酸化合物、アンモニウム化合物を加えて熱すると作ることができます。

処理の仕方によりカラメルⅠ〜Ⅳに区分されます。


カラメルI
糖類を加熱する、または酸やアルカリを加えて加熱する。亜硫酸化合物やアンモニウム化合物を使用せずに処理したもの
カラメルⅡ
糖類に亜硫酸化合物と酸、またはアルカリを加え加熱する
カラメルⅢ
糖類にアンモニウム化合物と酸、またはアルカリを加え加熱する
カラメルⅣ
糖に亜硫酸化合物及びアンモニウム化合物と酸、またはアルカリを加え加熱する


カラメルは主に醤油、ソース、飲料、プリン、菓子に使用されていますがカラメルⅡはあまり使用されていないようです。

酒税法によりウイスキー、ブランデーなどのアルコール類にも使用が認められています。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

原料に使われているのは純粋な糖類だけではないので、タンパク質や脂質など他の物質も含まれます。

製造するたびにカラメル中の物質の割合が異なる為、正確に安全性を検証することは難しいのかもしれません。

◯色◯号のような合成着色料は不純物の混入は15%未満と決められていますが食品衛生法の規格基準においてカラメル色素の不純物の含有量は定められていません。

カラメル、Ⅲ、Ⅳにはイミダゾール化合物が含まれることがあります。

この物質は厚生労働相も発ガン性を認めており、カラメルに含まれる量に上限を設けています。

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β-カロテン(β-カロチン)、カロチノイド色素

別名カロチノイド色素と呼ばれています。

β-カロテンは植物に存在する色素ですが、合成する技術が開発され合成着色料として指定されました。

水には溶けませんが、液体に粒子を分散させた製剤が業務用として販売されています。

にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などに含まれる栄養素で体内で必要な時にだけビタミンAに変換される性質があります。

ビタミンAは豚や鶏の肝臓に多く含まれており過剰に摂取すると害になる場合がありますが、βカロテンは過剰摂取による体への害はないと言われています。

マーガリン、ラーメンなどの糖類、菓子、飲料、てんぷらの衣など食品を黄色から橙色に着色するために使われます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

赤色、黄色、緑色、カラメルのような合成着色料とは異なり、比較的高純度である96%以上の規格が設けられています。

また、不純物の混入は4%まで認められています。

ビタミンB2(リボフラビン)

ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれています。

水にやや溶けにくく、中性から酸性では熱に対して安定的ですが、光により変化します。

腸内細菌によって作られたり、卵黄などに含まれています。

水溶性で過剰分は排泄されるので摂りすぎても害はありません。

また、不足すると口内炎、角膜炎、発育不良などを起こします。

黄色をしており、菓子類やその他の食品に使用すると自然な黄色に着色できます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

法令で純度が98%以上と定められています。

人工的に細菌を培養して製造するので、合成物質と比べ不純物に有害物質が含まれる可能性は低いと言われています。

リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2酪酸エステル)

リボフラビン酪酸エステルは、B2が水溶性であり医薬品、栄養強化剤として使用すると尿として排泄されてしまうという欠点を改良し、水に溶けにくくしたものです。

B2と同様に黄色で、法令により高純度であることが求められています。

高コレステロールを改善する効果があり医薬品として使用されることもあります。

その場合、稀に下痢、腹部膨満の副作用を起こす可能性はありますが無害です。

主に栄養強化剤、栄養機能食品、保健機能食品として、健康ドリンク、インスタント食品、ゼリー、冷菓などに使用されます。あまり食品に使用されることはありません。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム

これらは合成着色料で、南米のベニノキの赤色の種子から色素を抽出し、赤色のビキシンという物質を加水分解、さらにアルカリ処理したものです。

水によく溶けます。

カロテノイド系の色素ですが、β-カロテンとは性質が異なります。

主に魚肉ソーセージなどの魚肉練り製品、食肉加工品、アイスクリームなどの食品を黄色から橙色に着色する際に使用されます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

法令で規格基準は定められていません。

二酸化チタン

二酸化チタンはチタンの酸化物で、酸化チタンとも呼ばれます。

鉱石を塩素と反応させる塩素法や硫酸に溶かす硫酸法など様々な方法で製造されます。水、酸、アルカリには溶けません。

食品添加物としては、ホワイトチョコレートや白色ではない食品の下地としても利用されます。また、きな粉、食肉漬物、鮮魚介類、カステラ、こんぶ、醤油、食肉、、茶、スポンジケーキ、海苔類、マーマレード、豆類、みそ、麺類、野菜類、わかめ類には使用できません。

食品だけではなく白色塗料、絵の具、陶磁器の釉薬や、歯磨き粉、化粧品など日常でよく使うような物にも使用されています。

世界保健機関では吸入するとアスベストと同じように肺がんを起こすと言われ「発がん性があるもの」に分類しています。食べた場合の影響についてはっきりとしていません。

アナトー色素

南米に生息するベニノキの種子から抽出される着色料です。

色素の成分はビキシンとノルビキシンを含むカロテノイドですが、β-カロテンとは異なります。

水に溶けにくく、油に溶けます。

アナトー色素の中には水に溶けやすくしたカリウムやナトリウム塩もあります。

褐色をきれいな明るい褐色にする効果があります。

昔から南米の原住民はボディペインティングの顔料(絵具)として使用しています。

食品を黄色から橙色に着色します。

主にかまぼこやちくわ、さつま揚げなどの魚肉練り製品、うなぎや焼肉などのタレ類、ソーセージ、キムチ、チーズ、バター、マーガリン、アイスクリーム、コーンカップ、あん、パン粉、菓子類、などに使用されます。

また、タンパク質を赤く染める性質を利用して煮ダコにも使われます。

昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

ウコン色素

ウコンはターメリックとも呼ばれるショウガ科の植物です。

ウコン色素はウコンから抽出される黄色の色素のことで、ウコンとは異なります。

水には溶けにくく、熱には安定的ですが光に弱く変化します。

酸性では黄色、アルカリでは赤褐色になります。

カレー、栗のシロップ漬け、菓子類、漬物、食肉加工品、魚肉練り製品などに使用されます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

臨床試験により、人体に害になるような結果は見られませんでした。

但し、肝臓を患っている場合には悪化させる可能性があると言われています。

 

クチナシ色素(クチナシ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素)

クチナシの花は中国、台湾など東アジアで栽培されるアカネ科の植物です。

クチナシ色素は既存添加物に指定される天然着色料で、漢方薬としても使用されます。

カロテノイド系の色素ですが、β-カロテンとは性質が異なります。

また、クチナシ色素は黄色、青色、赤色の3種類があり、とも単にクチナシ、カロテノイド、カロチノイドといった表示のされ方をしますが、それぞれ別の物質です。

クチナシ色素と同じように既存添加物に指定され、長い間使用されている着色料のアカネ色素は発がん性が明らかになり使用禁止となりました。

 

クチナシ黄色素

クチナシの実から抽出した色素は水に溶かすと黄色になります。

これがクチナシ黄色素です。

酸性では不安定ですが、アルカリ性では安定的で光や熱によって色褪せることは少ないです。

タンパク質とよく混ざる性質があり、血圧を下げる為の利尿剤、怪我や菌の化膿による炎症を抑える消炎剤など漢方薬として昔から使用されています。

多くの食品に使用されており、主に中華めん、栗きんとん、栗の甘露煮、冷菓、漬物などがあります。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

中華めん(ラーメン)は小麦粉にかん水を加えると小麦のフラボノイド色素やタンパク質が変化して黄色になります。

このように元々黄色をしているタンパク性食品をきれいに着色する為にも使われます。


クチナシ青色素

クチナシの実から抽出した成分に人工的にアミノ酸類を結合させたものですが、既存添加物として指定されている天然着色料です。

熱や光に安定的です。

食品への着色力が優れているので多くの食品に使用されます。

主に、菓子類、あめ類、駄菓子、麺類、冷菓、飲料、練りワサビ、漬物です。

また、使用できない食品はクチナシ黄色素と同様です。


クチナシ赤色素

性質や特徴など、クチナシ青色素とほぼ同様です。

熱や光に安定的で、食品への着色力に優れています。

使用される食品は、パン生地、グミキャンディー、飲料、麺類、菓子類、冷菓などです。

ビートレッド

ビートレッドは赤色の色素で、赤いビート(砂糖大根)から抽出します。

この赤色の成分はベタニンとイソベタニンという物質です。

光、熱にやや不安定で、独特な臭いがあります。

赤ビートは糖分を多く含む為甘いですが、砂糖の量は普通のビートの半分程度です。

昔から料理に使用されており、特にロシア料理のボルシチの材料として有名です。

その他にも食品を赤く着色する為に使われます。

主にアイスクリーム、チョコレート、野菜ジュース、菓子類、かれいの一夜干しなどの水産加工品などです。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

ベタニンとイソベタニンに対して安全性試験はあまり行われていないようですが、ロシアでは長い間使用されおり、とくに問題は報告されていません。

紅麹色素(モナスカス)、ベニコウジ色素

紅麹色素(モナスカス)は赤色の添加物で、複数の色素が混合しています。

光にやや不安定ですが、phの変化には比較的安定しています。

紅麹は台湾や中国の紅酒の製造に使用されます。

着色料としては、カマボコ、その他の水産練り製品、水産加工品、食肉加工品などに使用されます。

紅麹色素はタンパク質をよく染める性質があり、これを利用することでカニ風カマボコ(カニカマ)の赤色を再現することができます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

食品によっては、光による変化を防ぐ為に包装材に留意する必要があります。

紅麹黄色素という色素もあり、主に冷菓、ゼリーに使用されます。

ベニコウジ黄色素、紅麹色素、紅麹、モナスカスなどと表示されます。

紅麹菌のなかにはシトリニンを生成するものがあります。

この物質は猛毒の為、紅麹色素に含まれる量が規制されています。

紅麹色素はコレステロールを低下させる作用があり、人への効果を実証する為に投与試験が行われた数少ない添加物の内の1つです。

国立健康・栄養研究所では、「短期間であれば摂取しても問題なし。子どもや妊婦が食すと危険で、妊娠中に食すと胎児の骨格形成に影響を与える可能性がある。」という見方を示しています。

肝臓の酵素に影響し出血するリスクを高める為、抗凝固薬などを服用している場合は注意が必要です。

また、腎臓、肝臓に異常がある人も食してはいけないと言われています。

コチニール(カルミン酸)

この色素は赤色で、南米のサボテンに寄生するカイガラ虫(別名エンジ虫、コチニールカイガラ虫)から抽出する昆虫のエキスです。

昔は絵具や毛織り物などの高級染料として使用されていましたが天然に代わり合成染料が使われる様になった為、食品への着色料としても使うようになりました。

主にハム、ウインナー、かまぼこ、イチゴミルク、清涼飲料水、あめ、菓子類などに、その他口紅、アイシャドウなど化粧品にも使用されています。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

コチニール色素はアレルギー症状(アナフラキシー)を発生させるとして消費者庁は平成24年5月11日に、コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取した際に急性アレルギーが起きた場合は呼吸困難など重い症状になることや、かゆみなど体調の変化を感じたら速やかにアレルギー専門医に診てもらうことなどの注意喚起を行いました。

このアレルギーはカイガラ虫のタンパク質が原因で起こるのではないかと考えられています。

ラック色素

ラック色素はインドや中国、タイの樹木に寄生しているカイガラ虫(別名ライラックカイガラ虫)のメスが樹木に分泌する塊から採れます。

分泌液が多く付着している枝を集めてきて色素を抽出します。色素の主な成分はラッカイン酸です。

この色素は水溶液の性質により色が変化します。酸性では橙赤色、中性では赤色、アルカリ性では赤紫色になります。

食肉加工品、ジャム、ゼリー、キャンデーなどに使用され、赤紫色は大福などのあんこにも使用されます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

体への影響がないかどうか長期間にわたる試験は行われていないようですが、遺伝子に異常をきたし発がん性の可能性があるとして大学生協によっては、この色素を使用している食品の販売はしていません。

ブドウ果皮色素

名前にある通りブドウの果皮から色素を抽出します。

水、水を含んだアルコールには溶け、食用油脂には溶けません。

色は水溶液の性質により変化します。

やや強い酸性では明るい赤色、弱酸性では赤紫色、中性では青紫色になります。粉末の状態では赤紫色です。

工程としては、赤ブドウ酒を製造する際の副産物である果皮などを原料として水で抽出し、濾過してから濃縮、その後乾燥させます。

この色素の成分は、なすび、紫芋、ブルーベリー、いちごなどよく食されている植物に含まれるアントシアニンです。

抗酸化作用があり、筋肉の疲労を抑えることで体を酸化させる有害な物質の発生を抑制すると言われています。

主にジャム、フルーツソース、冷菓、飲料などに使用されます。

また、昆布類、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔類、豆類、野菜、ワカメ類には使用できません。

紅花色素(ベニバナ色素)

この色素は紅花から水溶性の色素を抽出したもので赤色系と黄色系があり、どちらもフラボノイド系の色素です。

黄色系はアルカリ性では赤色に変色します。

紅花を水で抽出した物質には遺伝子に異常を起こし体に悪影響を与える遺伝毒性があります。

また紅花色素には子宮刺激作用があるので妊婦は流産する危険があり、消化性潰瘍の場合は出血をする可能性があります。

マウスを使った実験ではオスの生殖器官に異常を起こしました。

染料、紅花油(サフラワー油)、着色料として使用されます。

食品に対しては赤色系は主に和菓子などに、黄色系は主に漬物、麺類、飲料、冷菓、菓子類などに使われています。

紅花油は空気による酸化を受けやすいので注意が必要です。

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