食品添加物の種類 漂白剤
漂白剤というと洗剤を思い浮かべてしまいがちですが、私たちが口にする食品にも幅広く使われています。
消費者は味よりも先に見た目で購入を判断します。
自然のままで充分美味しいけれど、つい綺麗な色のものを手にしてしまいます。
漂白剤を使用することで、より白くしたり、元の色を薄くして着色料で綺麗に色付けしたり、また変色を防ぐための酸化防止剤や保存料としても使われていますが多くは表示されません。
それぞれの漂白剤の名称と用途をまとめました。
次亜塩素酸ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウムは、強烈な作用を持つ添加物で、殺菌消毒剤として極めて効果が高く、水道水の殺菌、食品工場・調理場・老人施設・病院などの殺菌消毒に広く使用されています。
中でも、近年多発しているノロウイルスに、殺菌用アルコールが無効であるのに対し、有効であるとして重宝されています。
食品には漂白剤、殺菌剤として使用されています。
カット野菜、果物などの消毒・殺菌に使用されますが、漂白剤、殺菌剤のどちらの使用目的にかかわらず、食品に使用した場合には水で洗浄するため、ほとんど食品には臭いも残りません。
そのため食品表示の義務はありません。
次亜塩素酸ナトリウムは、ビタミンを破壊しデンプンを変化させる性質があります。
野菜や果物などビタミン豊富な食品に使用した場合、変化した食品成分の安全性が問題になりうるので、適正に使用されることが望まれます。
なお、黒ゴマを次亜塩素酸ナトリウムで漂白し、白ゴマとして販売されたことがあり、その後ゴマには使用禁止となっています。
亜塩素酸ナトリウム、亜塩素ナトリウム液
亜塩素酸ナトリウムは、亜塩素酸のナトリウム塩で、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。この法律の規制を免れ、使用しやすくしたものが亜塩素酸ナトリウム液です。
通常4~25%の溶液で流通していますが、危険物なので取扱いに注意が必要です。
溶液中で亜塩素酸ナトリウムから生じる酸素による酸化作用で漂白、殺菌します。
使用できる食品は、さくらんぼ・ぶどう・もも・ふき・かんきつ類の皮(製菓用に限る)・カズノコの加工品(干しカズノコ、冷凍カズノコは使用不可)です。
カット野菜等の生食用野菜類や卵殻(殻の部分に限る)の殺菌の目的でも使用されます。
使用後はよく水で洗浄し、最終食品の完成までに亜塩素酸ナトリウムを分解、または除去しなければならないとされています。
亜塩素酸水は、殺菌剤として精米・豆類・野菜(キノコは除く)・果実・鮮魚介類・海藻・食肉・食肉製品およびこれらの塩蔵品、乾燥品に使用されていますが、食品表示の必要はありません。
亜硝酸塩①~⑥
①亜硫酸ナトリウム(亜硫酸ソーダ、亜硫酸Na、亜硫酸塩)
②硫酸水素カリウム液(亜硫酸K、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸K、亜硫酸塩)
③硫酸水素ナトリウム液(亜硫酸Na、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸Na、亜硫酸塩)
④ピロ亜硫酸カリウム(メタ重亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウム、亜硫酸K、亜硫酸塩など)
⑤ピロ亜硫酸ナトリウム(メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸塩など)
⑥次亜硫酸ナトリウム(ハイドロサルファイト、次亜硫酸Na、亜硫酸塩)
この①~⑥はすべて「亜硝酸塩」とされ、食品への使用もほぼ同じです。
亜硫酸ナトリウムは水溶性で、強力な還元作用により漂白します。酸化や変色防止、防カビなどの効果もあり、ワインには亜硫酸塩が酸化防止剤・保存料として使用されています。
⑤のピロ亜硫酸ナトリウムには皮膚や目、呼吸器に対する刺激性があり、喘息患者が摂取したところ、気管支痙攣を起こしたという報告もあります。
亜硫酸系の漂白剤は塩素系の漂白剤と異なり、食品を漂白した後、水で洗浄し亜硫酸を取り除くと色戻り現象が起きてしまうことがあるので、食品に残留してもよいことになっています。
そのため食品に使用表示する必要がありますが、保存料あるいは酸化防止剤と表示すれば漂白剤という表示はしないので、漂白剤が使用されているとは消費者には分からないこともあります。
また、亜硫酸塩はエビやカニの変色を防ぐ目的で使用されますが、これらをばら売りする場合には表示の必要はありません。
①の亜硫酸ナトリウムで漂白したサクランボや干しブドウをケーキやパンに使用した場合も同様に、表示の必要はありません。
食品への使用は、レンコン、かんぴょう・乾燥果実・水あめ・ゼラチン・煮豆・えびの他、広範囲に渡りますが、ゴマ・豆類・野菜には使用できません。
過酸化水素
過酸化水素は、化学式H₂O₂の化合物であり、水(H₂O)に酸素が一つ余分についています。
そのため不安定で、酸素を一つ放出して安定したH₂Oになろうとします。
このときに切り離された酸素Oが非常に強い殺菌作用、漂白作用を示すので、殺菌剤や漂白剤として使用されています。
過酸化水素はうどんや水産加工品などに漂白剤として使用されていましたが、発がん性が認められたとの報告があり、1980年に、食品に使用した場合「最終食品の完成前に過酸化水素を分解し、または除去しなければならない」と使用基準が改められました。
現在では主にカズノコの表面の細い血管の漂白に使用されています。
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